厚生労働省から2018年8月30日時点でのHACCP制度化Q&Aが発表されました。このページは発表内容を見やすくレイアウトしたものです。


平成 30 年6月 13 日に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律では、原則として全ての食品等事業者の皆様に HACCP に沿った衛生管理に取り組んでいただくことが盛り込まれています。ここでは、HACCP に沿った衛生管理の制度化に関してよく寄せられる質問にお答えします。

問1  HACCP に沿った衛生管理の制度化により、現在の衛生管理はどのように変わるのか。何か新しい設備を設けなければならないのか。
問2  以前は、A基準とB基準という呼称がなされていたが、それぞれ「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」とに言い換えられている。事業者が取り組むべき内容に何か違いはあるのか。
問3  どのような事業者が「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」の対象事業者になるのか。小規模事業者とはどの程度の規模を指すのか。
問4  缶詰やインスタントラーメンなどしか販売していない雑貨店のような業種も「HACCP に沿った衛生管理」の対象となるのか。
問5  「HACCP に沿った衛生管理」に関する制度改正はいつから取り組まなければならないのか。
問6  「HACCP に沿った衛生管理」に関する省令はいつ公布されるのか。
問7  小規模な事業者は、「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」に取り組むに当たって、どうすれば具体的な情報を得られるのか。研修会などは開かれないのか。
問8  HACCP に沿った衛生管理を実施していることを、事業者はどのようにして認証を受けるのか。また、営業許可の要件になるのか。
問9  既にある食品衛生責任者や食品衛生管理者以外に、HACCP に関する有資格者の設置が必要になるのか。
問 10 保健所からの監視指導はどのようにして行われるのか。例えば、衛生管理計画に不備があった場合、直ちに行政処分の対象となるのか。
問 11 例えば、同一施設内で食肉製品やそうざいといった複数のカテゴリーの食品を製造する場合は、カテゴリーごとに衛生管理計画を作成しなければならないのか。
問 12 飲食店が、「HACCP に沿った衛生管理」を実施していない事業者から仕入れた食材を使用した場合、法違反になるのか。
問 13 事業者が民間認証を取得している場合は「HACCP に沿った衛生管理」を実施していると言えるのか。
問 14 事業者が民間認証を取得している場合、保健所の立入検査が効率化されるのか。
問 15 総合衛生管理製造過程承認制度は廃止されるのか。現在、承認を受けている場合はどうなるのか。また、地方厚生局の監視指導や製品の自主回収が発生した際の報告の取扱いはどうなるのか。
問 16 総合衛生管理製造過程承認制度が廃止されることで、例えば、食品、添加物等の規格基準によらないで製造することが認められた食品の取扱いはどうなるのか。
問 17 消費者は、訪れた飲食店が「HACCP に沿った衛生管理」を実施していることや、購入する食品が「HACCP に沿った衛生管理」の下で製造、加工されたことをどのようにして判断すればよいのか。
問 18 「HACCP に基づく衛生管理」と「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」とでは、達成される衛生水準に差はあるのか。
問 19 HACCP に沿った衛生管理が制度化されることで、いわゆるエイジングビーフや鳥の刺身などを食べることができなくなるのか。

 

 

問1 HACCP に沿った衛生管理の制度化により、現在の衛生管理はどのように変わるのか。何か新しい設備を設けなければならないのか。

  1.  HACCP に沿った衛生管理の内容については、これまで求められてきた衛生管理を、個々の事業者が使用する原材料、製造・調理の工程等に応じた衛生管理となるよう計画策定、記録保存を行い、「最適化」、「見える化」するものです。
  2. 特に、小規模事業者の皆様に取り組んでいただくことになる「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」については、事業者団体が作成し、厚生労働省が確認する手引書を利用して、温度管理や手洗い等の手順を定め、簡便な記録を行うことを想定しており、比較的容易に取り組めるものです。
  3. 衛生管理の計画と記録を作成することで、衛生管理の重要なポイントが明確化され、効率的な衛生管理が可能となり、さらには保健所からの監視指導の際の応答や顧客など外部への説明も容易になるなどといった利点も生じます。
  4. なお、HACCP は工程管理、すなわち、ソフトの基準であり、必ずしも施設設備等ハードの整備を求めるものではありません。今回の制度化に当たっても現行の施設設備を前提とした対応が可能です。
    (注)HACCP 導入を機に、自主的に施設設備の整備を希望する事業者に対しては、「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」により、金融上の支援措置を受けることが可能。

 

 

問2 以前は、A基準とB基準という呼称がなされていたが、それぞれ「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」とに言い換えられている。事業者が取り組むべき内容に何か違いはあるのか。

○ 食品衛生規制の見直しに関する骨子案等においては、便宜上、コーデックス HACCP の7原則に基づく衛生管理については「基準A」、その弾力的な運用による衛生管理については「基準B」という文言を使用しましたが、その後、内容がわかりづらいなどの指摘があったことから、「基準A」については「HACCP に基づく衛生管理」、「基準B」については「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」と内容が分かるように表記することとしたものであり、取り組むべき内容に変更はありません。

 

問3 どのような事業者が「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」の対象事業者になるのか。小規模事業者とはどの程度の規模を指すのか。

1 「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」の対象となる事業者については、その要件を政令で定めることとしており、具体的には

① 小規模な製造・加工事業者
② 併設された店舗で小売販売のみを目的とした菓子や豆腐などを製造・加工する事業者(※1)
③ 提供する食品の種類が多く、変更が頻繁な飲食店等の業種(※2)
④ 低温保存が必要な包装食品の販売等一般衛生管理のみの対応で管理が可能な業種などを想定しています。
※1:菓子の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売、豆腐の製造販売等
※2:飲食店、給食施設、そうざい・弁当の調理等

2 政令の内容に関しては、事業者団体が作成した手引書で想定されている規模のほか、衛生管理は、食品の品質管理を専任とする従事者の有無といった要素も大きく関与することから、従業員数及び専任の品質・衛生管理の担当者数も勘案し、「食品衛生管理に関する技術検討会」において検討を進めています。

 

問4 缶詰やインスタントラーメンなどしか販売していない雑貨店のような業種も「HACCP に沿った衛生管理」の対象となるのか。

1 缶詰など常温で保存可能な包装済み食品のみを販売する営業など、公衆衛生に与える影響が小さいと考えられる業種については、衛生管理計画の策定を求める必要はないと考えられることから、規制の対象から除くことを検討しています。
2 ただし、温度管理の必要な食品の保管、販売や食品の小分け等を行う際には、公衆衛生上の観点から HACCP に沿った衛生管理を実施する必要があると考えています。

 

 

問5 「HACCP に沿った衛生管理」に関する制度改正はいつから取り組まなければならないのか。

1 HACCP の制度化については、法律の公布日(平成 30 年6月 13 日)から起算して2年以内に施行することとされていますが、制度の本格導入に向けて、施行後さらに1年間の経過措置期間を設けており、結果として3年間程度の準備期間が設けられています。
2 具体的な施行日については、今後政令で定めることとしています。

 

問6 「HACCP に沿った衛生管理」に関する省令はいつ公布されるのか。

○ 現時点では未定ですが、事業者や自治体が十分な準備期間を確保できるよう検討を進めています。

 

問7 小規模な事業者は、「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」に取り組むに当たって、どうすれば具体的な情報を得られるのか。研修会などは開かれないのか。

1 厚生労働省では、各事業者団体が作成した手引書を厚生労働省が開催する「食品衛生管理に関する技術検討会」で内容を確認しており、確認が終了したものを順次厚生労働省のホームページに掲載しています。
2 手引書については、各都道府県等の保健所にも通知し、団体に加盟していない事業者にも周知、普及することとしています。
3 また、厚生労働省や農林水産省では、HACCP の導入・運用できる人材を育成するための各種研修会等の事業の実施を公益社団法人日本食品衛生協会へ委託しています。詳しくは、同協会のホームページを御覧ください。

 

問8 HACCP に沿った衛生管理を実施していることを、事業者はどのようにして認証を受けるのか。また、営業許可の要件になるのか。

1 HACCP に沿った衛生管理は、認証や承認の制度ではありません。事業者の実施状況については、保健所等が、営業許可の更新時や通常の定期立入検査等の際に、HACCP7原則の考え方に基づいて、衛生管理計画の作成や実践がなされているか監視指導が行われる仕組みとなります。
2 営業許可の更新時や届出の際に衛生管理計画を確認することは考えられますが、衛生管理計画は許可の可否の判断基準には含まれません

 

問9 既にある食品衛生責任者や食品衛生管理者以外に、HACCP に関する有資格者の設置が必要になるのか。

○ 食品衛生責任者、食品衛生管理者以外の新たな有資格者の営業施設への設置は予定していません。

 

問 10 保健所からの監視指導はどのようにして行われるのか。例えば、衛生管理計画に不備があった場合、直ちに行政処分の対象となるのか。

1 事業者が衛生管理計画の策定やその遵守を行っているかについて、保健所等が、営業許可の更新時や通常の定期立入検査等の際に確認することとなります
2 事業者が衛生管理計画の策定及びその遵守を行わない場合、まずは行政指導が行われます。事業者が行政指導に従わず、人の健康を損なうおそれがある飲食に適すると認められない食品等を製造等した場合には、改善が認められるまでの間、営業の禁停止などの行政処分が行われることがあります。

 

問 11 例えば、同一施設内で食肉製品やそうざいといった複数のカテゴリーの食品を製造する場合は、カテゴリーごとに衛生管理計画を作成しなければならないのか。

○ 例示にある食肉製品とそうざいの場合、製造方法や管理の手法が異なることから、それぞれ衛生管理計画が作成されるものと思われますが、一般衛生管理や原料、製造方法等の共通性の高いものについては、同一の衛生管理計画で対応することも可能と考えます。

 

問 12 飲食店が、「HACCP に沿った衛生管理」を実施していない事業者から仕入れた食材を使用した場合、法違反になるのか。

○ HACCP に沿った衛生管理を行っていない事業者から原材料等を購入したことが、直ちに法違反となるものではありませんが、食品衛生法を遵守している事業者から購入するようにしてください。

 

 

問 13 事業者が民間認証を取得している場合は「HACCP に沿った衛生管理」を実施していると言えるのか。

1 JFS、FSSC22000 等の民間認証は、その認証基準に HACCP を含んでおり、事業者間の取引等において活用されていますが、これらはあくまで事業者による任意の取組であり、食品衛生法に基づく規制においては、事業者に対して、これら民間認証の取得を求めないこととしています。
2 ただし、これらの認証のうち、JFS、FSSC22000、ISO22000 等、HACCP に関してコーデックスと同様の要件を求めているものについては、「HACCP に基づく衛生管理」の要件を満たしていると考えており、保健所等による立入検査等の際に、認定に必要な書類や記録、審査や監査の結果等を活用し、事業者負担の軽減に配慮することを検討しています。
(参考)コーデックス HACCP を要件としている主な民間認証主体
ISO22000 国 際 標 準 化 機 構 ( International Organization forStandardization)
FSSC22000 オランダの食品安全認証財団(The Foundation of FoodSafety Certification)
JFS 日本の一般財団法人食品安全マネジメント協会
SQF 1994 年、オーストラリアの政府機関によって策定されたSQF(Safe Quality Food)は、2003 年に米国・食品マーケティング協会(Food Marketing Institute:FMI)の所有するところとなり、FMI 傘下である SQF インスティテテュート(SQFI)によって運営されている。

 

 

問 14 事業者が民間認証を取得している場合、保健所の立入検査が効率化されるのか。

○ 問 13 の回答の2を御覧ください。

 

 

問 15 総合衛生管理製造過程承認制度は廃止されるのか。現在、承認を受けている場合はどうなるのか。また、地方厚生局の監視指導や製品の自主回収が発生した際の報告の取扱いはどうなるのか。

1 改正食品衛生法では、総合衛生管理製造過程承認制度に関する規定(現行の第 13 条及び第 14 条)が削除されるため、同制度は廃止されることとなります。本改正の施行日は、「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」であり、2年以内の施行日をもって廃止となります。
2 ただし、施行日前までに承認・更新の手続きが全て完了している場合は、経過措置規定により、その承認・更新の日から3年間は効力を有します。同制度の承認の効力を有する期間中は、地方厚生局による立入検査についても、保健所等による監視指導と併せて行われます。

3 製品の自主回収については、「食品リコール情報の報告制度の創設」により、新たに地方自治体へ報告する仕組みへの対応が必要です。総合衛生管理製造過程の承認を有する施設の、自主回収発生時の報告の手続については、「食品衛生管理に関する技術検討会」において今後検討します。

 

 

問 16 総合衛生管理製造過程承認制度が廃止されることで、例えば、食品、添加物等の規格基準によらないで製造することが認められた食品の取扱いはどうなるのか。

1 食品の製造加工基準については、厚生労働省告示において規定しているところであり、今後、基準に定めた方法以外の方法により製造加工しようとする場合には、厚生労働大臣の承認を受けなければならない旨の規定を総合衛生管理製造過程承認制度が廃止される前に当該告示に整備することとしています。

2 厚生労働大臣の承認手続については、現在の総合衛生管理製造過程の承認手続と同様、製造加工の方法、製品の試験成績その他の資料に基づき、現場調査、専門家による検討を行い、食品衛生法の製造基準・加工基準を遵守した場合と同等の安全性が確保されていると確認できたものについては例外承認することを予定しています。

 

問 17 消費者は、訪れた飲食店が「HACCP に沿った衛生管理」を実施していることや、購入する食品が「HACCP に沿った衛生管理」の下で製造、加工されたことをどのようにして判断すればよいのか。

1 例えば、店舗のよく見える場所に衛生管理計画の写しを掲示することで、各事業者の衛生管理の取組を示すといったことが考えられます。

2 また、事業者団体が自主的な取組を表示している例もあることから、そうした例も参考にしながら、どのような対応が可能か、検討することとしています。

 

問 18 「HACCP に基づく衛生管理」と「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」とでは、達成される衛生水準に差はあるのか。

○ 「HACCP に基づく衛生管理」及び「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」は、規模や食品の特性等に応じて事業者が遵守すべき最低基準であり、いずれも、必要な衛生管理のレベルを確保しているものです。

 

 

問 19 HACCP に沿った衛生管理が制度化されることで、いわゆるエイジングビーフや鳥の刺身などを食べることができなくなるのか。

○ 食肉については、従前より、食中毒防止のため、加熱不十分なものや鮮度の落ちているものを提供しないよう、自治体の保健所を通じて飲食店業者を指導しているところです。HACCP の制度化後は、衛生管理計画の策定、検証を通じて十分な加熱や安全管理を指導していくことになります。


&MIRAIでは今後、行政書士谷田良樹事務所と共同で重要項目について解説記事を投稿していくとともに、政令や各地でのHACCP研修会について動向を注視していきます。