ミッドライフクライシス真っ只中:天気は荒れるがそういうもの

ミッドライフクライシス真っ只中:天気は荒れるがそういうもの

これを書いている今、私は少し前に39歳になった。
最高のパートナーと結婚し、子にも恵まれ、借金もなく、やたらと土地だけは広い家と走行距離が10万kmを超え、内装がベトつきだした愛すべき車もある。

昭和の中流家庭をそのまま召喚したような、少し前なら「ごく平凡な」と枕がつく状態だろう。
今ではその平凡さを手に入れるにはかなりの幸運を要するだけに、恵まれているのは確かだ。

ただそんな恵まれた状態にも関わらず、どうやらミッドライフクライシスという状態になっている。

仕事もプライベートも研究生活もあまり楽しくない。

人生が嫌なわけではない。不満という感情でもない。

登山家から山を取り上げたらきっとこういう感覚なのだろうと思う。

全身全霊を捧げたくなるような没頭がない。なのに常に何か焦っている。

この年齢にもなれば情熱の預け先を誰かが用意してくれるわけではないのは理解している。
そこを試行錯誤しながらハントするのは本来楽しい行為だ。

ただ、自転車の乗り方のような本来は忘れるはずのないことを忘れ、焦燥感と戸惑いがやってくるからこそミッドライフクライシスなのだろう。

心の状態はよく天気に例えられるが、これは中々に示唆に富んでいる。

「天気は荒れるがそういうもの」

天気が荒れるのは自分のせいではない。空が荒れないように努力するのは徒労に終わる。
荒天ならば荒天なりの過ごし方を。

私はこうした「書く」という行為全般が得意ではない。
しかしこうして気持ちを認めると少しだけ晴れ間がさしたようながする。